「窮鼠」成田凌、大倉忠義と女性陣の会話に思わず嫉妬「なんかムカついちゃった」

映画「窮鼠はチーズの夢を見る」舞台挨拶より、左から成田凌、大倉忠義。

水城せとな原作による実写映画「窮鼠はチーズの夢を見る」の公開を記念した舞台挨拶が、本日9月12日に東京・神楽座で行われ、恭一役の大倉忠義(関ジャニ∞)、今ヶ瀬役の成田凌、行定勲監督が登壇した。なお本記事は映画の内容のネタバレを含むため、鑑賞予定の人はご注意を。

舞台挨拶は本編上映後に行われ、全国約100館の劇場へ生中継を実施。行定監督は「この映画は恋愛についての考察というか、“とことん恋愛”なんですよね。そういう恋愛映画を作れたのは、僕にとっては胸を張れること。きっとそれが伝わっているんじゃないかと思います」と自信を覗かせる。

司会に恭一の“クズっぷり”について指摘された大倉は、「そういうダメなやつを好きになる今ヶ瀬もダメなのに、観終わった方はみんな『今ヶ瀬がかわいい』ってなるんですよ。だからお互いダメなんです。僕も(恭一役を)やっててクズだなと思います。でもきっとこういう人が好きという人もいるわけで。複雑です」と吐露。成田も「今ヶ瀬も悪いんですよ。勝手にワーっと行って、勝手に傷付いて怒って」と同意する。司会から「原作よりも成田さんの演じる今ヶ瀬のほうがかわいらしくなっている」と水城が語っていたことが触れられると、行定監督は「成田がだんだんかわいくなっていったよね。男が好きな男なんだから“男”でいいんだよっていう解釈のもとでやっていたけど、だんだん女性性のようなものが出てきて。不思議だよね」と述懐。成田も「ほとんど(シーンの)順番通りに撮ってもらえたのでそうなっていったんだと思うんですけど、無意識でしたね」と頷き、大倉も「最初はクールだったけど、(撮影が進むうちに)お互い人間らしくなっていったよね」と振り返った。

また成田は撮影中、大倉と女性陣がしゃべっているシーンを見ると「なんかムカついちゃったんですよね」と告白。「監督の横とかで自分が出ていないシーンを見ているんだけど、(大倉と話す)女性陣を見てると『なんかムカつくなあ……』って。あの時期は(女性陣が)嫌いでしたね(笑)」と役に入り込み思わず共演者に嫉妬していたことを明かす。行定監督は「大倉は現場で成田に対して優しくないのよ(笑)」と同じように大倉も役に入り込んでいた部分を見透かし、大倉は「距離感がすごい大事だなって思ってたんですよ。本当は空いてるときに『飲みに行こうよ』っていう雰囲気もあったんですけど、そこまで近づいちゃうとそれはそれで違うかなと思って、そうするとなんか冷たくなっちゃってたみたいですね(笑)」と自身の現場での様子を口にした。

司会から好きなシーンについて問われると、大倉は「おしまいだってなってから海までのシーン。悲しいんだけど絵がきれいという残酷さが好きです」と、恭一と今ヶ瀬が車で海に向かうシーンを挙げる。このシーンについて行定監督は「シナリオを作る中で重要なポイントでした。最初の海まで書いたところで、1回脚本家を止めたんです。原作にはそれ以降の2人はないので、そこからどうするか」と述べ、「僕はシナリオを読んだときに心中する2人の心境だと思ったんです。『お前とは付き合っていかない』って決めたんだけど、あの車の中で本当に言ったかどうかも定かじゃない。でも海に行くってどんつきまでいくこと……だからそう解釈すると、“精神的心中”をしたけれど死ななかった2人みたいな。今ヶ瀬がどんどん海に行っちゃいますよね。そういう演出になったなと思います」と話す。成田も「原作だと車の中での会話でしたけど、外に出てよかったですよね」と言い、行定監督も「突然風が吹いたもんね! 引きの画を撮ったときは凪いでいたのに、朝日が出始めてくると風がすごい吹いてきて。すごい風の中で2人はやってたんですよね」と撮影時のエピソードを披露した。

その後、キャラクターの魅力について語り合った3人。行定監督は「マンガ原作だから、映画だと人が演じるわけじゃないですか。誰がその人を演じるかによって変わりますよね。だから大倉じゃない人間が恭一をああいうキャラクターにしないかもしれない。でもそこが面白いよね。今ヶ瀬もあんなふうにかわいく見えてくるかと言ったらほかの人だとああならないかもしれない。この2人で、この恭一と今ヶ瀬ができたので、今となってはほかの人は想像できないです」と大倉と成田が演じた恭一と今ヶ瀬について改めて思いを語った。